2020年06月30日

【県議会】

6月定例会で私がした質問(2/3)

こんにちは、富山県議会議員の瀬川侑希です。

前回に続いて、6月定例会での2つ目のテーマ「テクノドームの別館整備」部分を掲載します。

続いて、「高岡テクノドームの機能拡充について」9問質問します。

テクノドームの機能拡充については、新高岡駅やイオンに近い好立地で、多様なニーズに対応し、親しまれ、県西部の活性化に繋がるような拠点施設にしたいという「背景」。1,000席や1,200席、どんな中身が入るという「機能」が前に出て議論されています。しかし、作ることで、どう人の流れが変わって、年間でどんな人がどのくらい来るのか、のような期待する効果がまだ分かりません。

ですが、期待する効果、は整備を決定してから後付けで決めることではなくて、先に期待する効果を見込んでから、初めて整備を決定できることだと思うわけです。

そこで1つ目の質問ですが、高岡テクノドームの機能拡充をすることで、どのような数値目標を達成しようとしているのか、商工労働部長にお聞きします。

→(回答)数値目標については、現状特段の設定はしていない。整備後には、稼働率、利用者数などを数値目標とすることも考えられる。

数値目標があって、そのためにはどういう施設にしなければいけない、だとしっくり来ますが、「どのくらい来るか分からないけど作る」だと、昭和の時代の作り方で、賢く縮小していく令和の時代には合わないように、私は思います。

次の質問に移ります。ここから7問はものづくり体験施設について聞きます。

先日、第3回のテクノドーム検討委員会が開かれ、場所、広さ、備える機能の具体的な方向性が示されました。基本的に全体に賛成しています。地元の要望も骨を折って反映してくれたとも感じています。ありがとうございます。しかし、1点だけ理解できない部分があります。

それは「ものづくり体験ができるワークスペース」です。というのも、例えば私の住む高岡市では、百貨店「大和」が撤退した御旅屋セリオに、行政の「高岡市」が今年度ものづくり体験施設を整備します。当然、県もこの動きを知っていたと思います。

また、市内各地にたくさんのものづくり体験施設が既にあるんですね。例えば能作さんにもある、金屋町にもある、山町筋にもある。

高岡以外だと、井波にもある、城端にもある。

あえて県が整備する意味が私には分からないのですが、別館に「ものづくり体験ができるワークスペース」を整備する理由について、商工労働部長にお聞きします。

→(回答)1回目の検討会で、「若者や親子連れが集い、交流できる機能」「県西部の活性化のための拠点としての機能」「伝統工芸、最先端のものづくり産業の技術などの体験」という声があった。検討会では肯定的な意見が数多く出された。このため、2回目の検討会で方向性の案として示したところ、検討会で賛同が得られた。

賛成があったのは理解していますが、一方で懸念の声もあったので、そこも含めて説明してほしかったです。

検討会では知事から「ものづくり体験については御旅屋セリオと役割分担し、相乗効果が出るように工夫する」との発言がありました。「役割分担、相乗効果」と言われると響きがよく納得しがちになりますが、私は申し訳ないんですけど、何回聞いても、まだ具体的なイメージができません。どのような役割分担、相乗効果を考えているのか、知事にお聞きします。

→(回答)御旅屋セリオのものづくり体験施設は中心市街地の活性化に資するものだと期待されている。正直に言うと、御旅屋セリオのものづくり体験施設の中身をもう少し具体的に教えてほしいという想いがある。これまでも聞いてきたが、まだまだ具体的な内容、詳細が定まっていない。内容や運営方針を踏まえながら、テクノドーム別館と擦り合わせ、役割を少し分担して相乗効果が出るようにしたい。テクノドームと御旅屋セリオはそれぞれ点として捉えるのではなく、それらを結ぶ高岡市の道路もあるわけなので、うまく繋げていけば相乗効果が出る可能性がある。一緒に手を繋いで頑張っていければいいと思っている。島谷さんが例えばパリで実演した時、目の肥えた現地の人が、ググっと惹きつけられ、熱意溢れる雰囲気になる。高岡や県西部のものづくりは日本だけじゃなく海外に対しても誇りにしていいものだ。同じことをテクノドームとセリオでやったら難しいが、例えば能作さん、島谷さん、折井さん、などなどそれぞれが素晴らしい。個性やスキルを活かして役割分担すればいいのではないか。ちょっとこの分野に関しては、想像力を拡げてもらえれば。決してダブることなく、十分成り立つと思っている。

知事の言っていることは理解できますし、熱意も伝わりましたが、それをやる施設を御旅屋セリオに作るので、あえて県が作る必要はないんじゃないか、というのが私の言いたいことですが、後ほどまさにその質問をしますので、一旦横道に逸れます。

県で、ものづくり体験施設を整備しようとするのは、県西部で、現在どのくらいのものづくり体験施設があるか把握していないからじゃないかと思ってしまいますが、現在どのくらいのものづくり体験施設があると把握しているのか商工労働部長にお聞きします。

→(回答)県の公式観光サイト「とやま観光ナビ」や富山産業観光図鑑をみると、県西部で23の施設がある。食に関する施設が6ヶ所、鋳物体験が5ヶ所、螺鈿や漆器が3ヶ所、和紙が2ヶ所、木彫刻が2ヶ所などとなっている。

その町その町に入っていけば、それだけじゃないということがきっと分かってもらえると思いますが、それでも数多く把握されているのに、県がものづくり体験施設を新たに整備すれば、どうしても機能が重なるので、役割分担しようと思っても重なると思いますし、観光で初めて訪れる方にとっては一緒に見えるんじゃないかと思います。

そうすると、市や民間のものづくり体験施設、「現在」頑張っている方です、その方たちとお客様を奪い合うことに繋がらないかと思うのですが、商工労働部長に所見をお聞きします。

→(回答) テクノドームのエリアは、県西部をはじめ県全体の活性化に資する拠点として大きな可能性がある。これを最大限に活かすために、機能の拡充を図る。これをきっかけに、先ほどの23の体験施設に関心を持ってほしい。それぞれの施設に誘う、回遊に結びつける。お客様を奪い合うのではなく、各施設を線で結ぶことで、相乗効果を発揮していきたいと思っている。

部長はそうおっしゃいますが、現に民間で、ものづくり体験施設が増えて、閉めざるをえなかった事業所もあります。県も参入すると余計拍車がかかるのではないでしょうか。わざわざ競合するようなものは高岡テクノドームに整備せず、むしろ県のものづくりを発信したいのだったら、「現在取り組んでいる」市や民間のものづくり体験施設をサポートするという考えはなかったのでしょうか。自分たちで0から整備するのではなく、「既存のものを応援する」というやり方もあるように思いますが、商工労働部長にお聞きします。

→(回答) 既存の施設とwin-winの関係にできるのではないかと考えている。今後既存施設と相談して、適切な連携、サポートに繋がるように、運営のあり方を検討していきたい。

ここまでしつこく市や民間と重なるから整備すべきじゃない、と5問聞いてきましたが、しつこいので、視点を変えて観光の観点から2問お聞きします。

新高岡駅すぐそばのテクノドームにものづくり拠点を整備すれば、確かに観光客には便利かもしれません。高岡銅器・漆器、菅笠、井波彫刻、蒔絵、和紙、などの体験が新幹線を降りてすぐの場所でできるようになります。でも、私たちが見せたい富山県ってそういう富山県でしょうか?新幹線を降りて、体験をして、食事をして、また新幹線で別の場所に行く。

そうではなくて、高岡だったら、金屋町を歩いて体験する。能作の工場見学をした後に体験する。井波の町を歩いて、トントントンと町のあちこちから木彫りの音が聞こえる環境で体験するから価値があるのではないでしょうか?体験を便利な場所に集めるのではなく、その町その町を訪れてもらって、食事もして宿泊もして、その町全体を感じてもらう、のが富山県が目指すべき体験や観光ではないでしょうか。

以前、知事も井波で木彫り体験をしたと聞きました。体験じゃなくて視察だけだったかもしれませんが、視察をした知事になら、きっと分かってもらえると思います。井波で体験するからこそ価値があると考えますが、知事に所見をお聞きします。

→(回答) 2年前に「トモル工房」を視察した。地域に根付いた歴史や文化や風情などを現地に出向いて、現地の雰囲気を肌で感じた上で体験するのは素晴らしいことだと思う。「現地で体験するからこそ価値がある」というのは、そういう面も確かにある。一方で、現地以外においてものづくり体験した場合であっても実際に材料を手に取って作ってみることで、材料の質感や手触り、音や匂い、五感を使った体験ができ、ものづくりへの関心を高めるきっかけとして十分に効果がある。その上で、現地に行くと、まさに相乗効果がある。ニューヨークで富山の伝統産業を展示した時、現地の厳しいバイヤーから「1つ欠点がある。売値を2倍か3倍にしなさい。」と言われた。その方は買ってくれ、その後富山にも来てくれた。本物を体験するのが1番だが、そこにアクセスするのに、まずは入口として触れてみるのが結構大事だと思う。北陸新幹線大阪延伸を見据えると、テクノドームをいかに魅力的にするかはとても大事。そうすると、高岡や県西部が1番誇りにできること、国際的に見てもこれはいいなと思ってもらえることは何か、と考えると、例えば伝統工芸のものづくり体験は、国内あちこちでできることではないので、アピールの材料にしたい。御旅屋セリオにも構想があるようだから、できるだけ擦り合わせをして、うまく点と点が繋がるようにしたい。

井波だけじゃなく、市や民間が、現地で様々な取り組みをしているんですね。私は県がそこに割って入るべきじゃないと考えます。

富山県はそれぞれの地域に魅力があって、それぞれの地域の魅力が輝くからこそ素晴らしい富山県になるんだと思うんですね。真ん中に集めるんじゃなくて、現地に行ってもらう。地方創生ってそういうことではないでしょうか?滞在型観光を促す観点からも、ものづくり体験施設は市や民間など現地に譲り、県で整備すべきではないと考えますが、知事に所見をお聞きします。

→(回答) 市や民間とダブるところは避けろと言うが、検討会には市長も入っている。本筋は、高岡、県西部、富山県が何をもって世界と戦うのか、私はものづくり体験というのはひとつあると思う。

高橋市長は優しいので知事にそこまで言わないのかもしれませんが、高岡市は御旅屋セリオを立て直そうと、ものづくりでまちづくりしようと、高岡市必死に取り組んでいますので、高岡市とバッティングするこのものづくり施設だけは、ぜひ再検討をお願いしたいと思います。

この項目最後に、これはものづくりだけに限定するわけではなく、広い意味で聞きます。藤井大輔議員も堂故参議院議員の「市町村がFWで、県はそこにパスを送るMF」という考えを紹介していましたが、私もまさしくその通りだと思います。どこも同じ風景の市町村ではなく、県内15市町村がそれぞれの特色を出して輝く。その集合体が富山県。それには、県は市町村の取組みをサポートすることはあっても、市町村と類似の取組みを進め市町村のまちづくりを邪魔することはあってはならないと考えますが、知事に所見をお聞きします。

→(回答) 市町村と県は対等、協力の関係。住民に身近なものは市町村。県は広域的な施策を担う役割分担が必要。一方で、県・市町村ともに厳しい財政事情が続くので、役割分担しながらできるだけ連携協力して、色んなことを戦略的に総合的に進めていくことが必要。これまでも市町村のまちづくりを支援するということで、様々支援してきた。テクノドームは県と高岡市が一緒にやってきた事業。高岡の希望も聞いてやってきた。基本的には県は基礎的自治体である市町村をサポートするMFだが、行政には様々な分野があるので、この分野はちょっと時間がかかっているから自らシュートしようというのもたまにはあるが、今後とも役割を果たしていきたいと思っている。

しつこく聞きましたが、それだけ気にしているということなので、ご容赦・ご理解頂ければと思います。本日、石井知事の考えが聞けてよかったと思っています。

ただ、テクノドームのものづくり体験施設には反対ではありますけど。

以上が2つ目のテーマ「テクノドームの別館整備」部分です。次回に続きます!

ありがたいことに、北日本新聞と富山新聞が、テクノドーム部分を切り出して記事にしてくれました。

なお、映像は、

https://toyama-pref.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=1071

こちらで9月までは視聴できます。よかったらぜひ!

2020年06月29日

【県議会】

6月定例会で私がした質問(1/3)

こんにちは、富山県議会議員の瀬川侑希です。

6月22日に予算特別委員会で質問しました。

①コロナ対策の予算振り分けは適切だったのか

②テクノドームの別館整備

③7月オープンの富山県子ども・若者相談センター

の3つのテーマで質問しました。

60分、という与えられた時間の中で、県庁側と議論します。

今回は6月定例会で私がした質問を掲載します。いつも以上に長いので、3回に分けますね。

まずは、コロナに対する県の予算措置について、4問質問します。

元々1兆円だった国の新型コロナ臨時交付金ですが、知事も全国知事会を通してなど要望され、2兆円上積みされました。

この臨時交付金は、使い道が比較的柔軟に選択でき、私たちの自治体は医療提供体制に充てたい、いや私たちの自治体は臨時休校に伴う子育て環境の整備に充てたい、というように自治体が「ここに重点的に充てたい」という部分に充てられる、裁量が自治体に委ねられている性格のものだと認識しています。

だからこそ、各都道府県、各市町村で色々なコロナ対策が出たわけですが、逆に言うと、この使い道に、その自治体が力を入れた分野が現われてくると思っています。

最初の臨時交付金1兆円の時は、富山県への配分は48億円程度だと見込み、4月臨時議会で鹿熊議員の質問に答える形で、「医療機関への支援や感染拡大防止、休業要請、雇用の維持と事業の継続、観光地の魅力ブラッシュアップなどを柱に予算化した」と説明されました。

余談ですが、私はこの時知事が「事業効果が1日も早く」と言ったのが非常に頭に残っています。予算の執行というと「この日までに」となりがちですが、「1日も早く」という意識でいることを頼もしく思いました。

さて話を戻しまして、国の2次補正で増額された「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」2兆円のうち、富山県への配分はいくら程度だと見込み、使い道を選択するにあたっては、どのような考えで予算を編成したのか、経営管理部長にお聞きします。

→(回答)2次補正の2兆円の富山県配分額は現時点では示されていないが、1次補正を一定程度超える配分があるものと見込んでいる。2兆円と大規模に補正した経緯は、第2波、第3波への備えなど、今年度末までの状況の変化への対応を考慮したという説明。6月補正では、新しい生活様式への対応、事業の継続など、当面の喫緊の課題への対応として、44億円活用した。9月補正以降でも、この臨時交付金の残りを活用していく。

今、臨時交付金の使い道に答えてもらいました。見込み金額はまだ詳細が分からないとのことですが、単純に計算すると約100億円程度富山県に配分されて、現在44億円使って、残り56億円は第2波以降のため、残してある、ということかと思います。

さて、6月議会にはこれ以外の補正予算も計上されております。次の質問に移りますが、6月補正358億円のうち、県の財政負担である地方債、一般財源はそれぞれいくらなのか、同じく経営管理部長にお聞きします。

→(回答)地方債が充当できるハード事業が含まれていないので、地方債は財源として計上していない。一般財源は2.5億円計上している。なお、この一般財源は、当初予定していて中止になったイベントなどの費用を充てている。

そうなんですね。358億円!と大きく県も発表して、大きく報道もされていますが、ほとんどが国のお金なんですね。しかし、それが悪いと言っているわけではありません。国と違って自治体は簡単に借金できない仕組みになっていますし、今後県税も確実に減る、という影響もあります。

だからこそ、そんな状況があっても、5月に専決処分した「富山県事業持続化・地域再生支援金(国の持続化給付金に県として上乗せするもの)」は財政調整基金を12億円取り崩して予算編成しました。15年振りに基金を取り崩すという、思い切った決断に、私は非常に頼もしさを感じました。力強さや覚悟も感じました。知事は会見で「コロナは未曾有の災害。基金はこういう時のために積み立ててきた」と言いましたが、どのような想いで基金を取り崩してまで、この事業の実施を決断したのか、知事にお聞きします。

→(回答)コロナ終息後に求められる新しい生活様式やこれまでの事業のあり方の見直しを進めて、経営を持続可能なものにするとともに新たな発展に繋げる、意欲ある事業者を支えたい。そして地域再生に繋げたい。このような想いで実施した。富山県内に多い中小企業をなんとか守り抜きたいという想い。国の2次補正を待つのではなく、先んじて実施するために、基金12億円を取り崩した。

国の追加になった2兆円の臨時交付金で、この12億円をカバーできるため、12億円を基金に戻すことを検討していると聞きました。もしそうだったとしたら、結局富山県のコロナ対策のお金としてはほとんど国のお金しか使っていないようにも見えます。取り崩した時に「財政調整基金を使ってでもやるんだ」という、私が勝手に感じただけかもしれませんが、覚悟を感じた私はちょっと戸惑います。

確かに様々な施策をやっているのは理解していますが、まだまだ困っているところはたくさんあります。この議会でも多くの方が指摘しました。

追加の臨時交付金でカバーできるから基金に12億円戻そう、ではなく、覚悟を持って取り崩した12億円はあくまでも他の対策の財源として活用すべきと考えますが、所見を知事にお聞きします。

→(回答)新型コロナは100年に1度の「国難」。基本的にその対策に要するお金は国が準備すべきだと思っている。ただ、具体的な対策は地方の実情に応じて自治体が裁量を持ってやるようにすべき。期待通りの臨時交付金が来なかったら基金を取り崩したままにするが、期待通り来たら財政の健全化のためにも、12億円を基金に戻して、第2波、第3波に備えたい。それを実現するために、国や色んな方面と一生懸命交渉している。ぜひ理解してほしい。

「国難だから、国が責任を持ってやるべきだ」というのは理解できますが、この県内の民間企業は借金をしてなんとかこの状況を乗り切っています。県だけが財政負担がないのでは、一緒に乗り越えようという気持ちが共有できないのではないでしょうか。

私の友人も派遣切りに遭い、職を失いました。生活に不安を感じ、子どもの習いごとをやめるご家庭もあります。色々なところで今でも暮らしに影響が出ていますし、生き辛さを感じています。県立高校普通科へのタブレット配布など、まだやれていないこともあるはずなので、ぜひ、未曽有の国難ですから、ぜひ県も使う時には使ってほしいと思います。

以上が1つ目のテーマ「 コロナ対策の予算振り分けは適切だったのか 」部分です。次回に続きます!

なお、映像は、

https://toyama-pref.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=1071

こちらで9月までは視聴できます。よかったらぜひ!

2020年06月14日

【市民の動き】

医療従事者へのクラウドファンディング

富山県でコロナウイルス感染者が日に日に増えていった4/20のことでした。

「富山市民病院のニュースを見て、富山のために何かしたい」

高校の同級生で、ラクスル(株)CEOの松本恭攝氏(射水市出身)から1本の電話がかかってきました。

クラスター発生のニュースが全国放送され、それを見て心を痛めての電話でした。

私から富山県の状況を説明すると、

「すぐできることとして、富山市民病院にマスクを寄附する。しかし、単体の動きにしたくないから、何かできないか?」

市民病院へのマスクの動きはこちらのブログに書きましたが、

「行動を広げる」ということに関しては、freee(株)CMOの川西康之氏(高岡市出身)と(株)ニューピースCEOの高木新平氏(射水市出身)に呼びかけ、4/22に4人でZOOMミーティング。

「県出身者で同じように心を痛めている方は多いはず」

「状況を知ってもらい、その方が行動を起こせる受け皿を作れないか」

そのような会話を具現化する方法として、クラウドファンディングで寄附を募るという手段を検討することに。集まったお金で、危険と隣り合わせながら日々最前線で戦ってくださっている医療従事者へ物資を届けるものです。

私たちだけでやるという選択肢もありましたが、どうやったらよりインパクトを生み出せるか議論を重ね…。なるべく大きな動きにするために、県庁に一緒に進めないか提案。

コロナ対応でとても忙しかったと思いますが、GW直前4/30に県庁から「実施に向けて具体的に詰めたい」と返答が。

その後は私たちも県庁もGW返上で急ピッチで準備を進め(コンテンツ制作、応援団との調整、readyforとの調整、その他もろもろ)、5/8に記者会見と立ち上げを行うことができました。(細い糸をたぐるような、緊迫感のある1週間でした。)

現在クラウドファンディングと県へ直接を合わせて7,500万円を超える寄附が集まっています。知事や議員も報酬をカットし、カット分をこの基金に入れることに。

クラウドファンディングには、寄附くださった現在「1,091名」のコメントが。

https://readyfor.jp/projects/36617/comments

すべてのコメントを読んでおりますが、想いの詰まったお1人お1人のコメントを読むと、改めてこのプロジェクトをやってよかったなぁと感じます。

今回のプロジェクトを通して、いくつかの発見がありました。

一度も顔を合わせず、プロジェクトが進行

最初の電話から約2週間、実質的にはラスト1週間で形作りましたが、この間、4人+県庁+readyforは1度もリアルで会わず。

コロナで外出自粛が求められていたため、東京組の3人は1度も富山に来ずに、プロジェクトが進行しました。

記者会見もZOOMで実施。最後まで、人、モノの移動がなく、「想い」のやり取りだけでプロジェクトが完結する。withコロナ時代の新しい可能性を見た気がしました。

「これを作って」ではなく「私たちならこれができる」

コロナの問題が大きくなるにつれ、各方面から「基金を作り寄附を募ってはどうか」という声が上がりました。

その各方面からの声があったため今回の基金ができたのですが、県庁に「基金を作って」というだけで終わらせず、「私たちならその基金をこう広める」まで提案・実行したことが、県庁も一丸となって取り組んでくれた理由だと感じています。その先の展開イメージを共有し、自分もプロセスにコミットする。これからの議員活動においても忘れずにいたいと思います。

現代のインフラ

インフラといえば道路や橋ですが、ある方に「これは現代のインフラだ。あなたたちはインフラを作った」と言われました。

その方曰く、今回のプロジェクトは、県外在住の県出身者がモノや心を地元に届ける「道路」だったというのです。

富山県で生まれ、育っても、進学・就職・転勤・結婚、、、様々な理由で県外に住むことがあります。

しかし、今は離れていますが、地元を懐かしんだり、恩返しをしたいと思っている方も多いはず。Uターンや帰省という方法もありますが、物理的だけでなく、「モノ」や「心」を地元に届けられる、循環できるプラットフォームなのかもしれません(ふるさと納税も同じ趣旨ですね)。

この「循環」を、今回だけで終わらせず、継続的に生み出していきたいと思います。

嬉しいことがいくつも起こりました。

若手の呼びかけに、多くの県出身者がクラウドファンディングの応援団として加わってくださいました。また、ご自身は参加したいと思われているが、様々な理由で今回加われない方も多数いらっしゃいました。その方々の気持ちも、私たちのモチベーションに繋がりました。

たまたま発起人の4人が同じ高校だったため、「高校の後輩がこんな嬉しいことをやってくれたんだから、先輩として応援しない選択肢はない」と寄附くださった方もおられました。これも一種の「循環」で、かっこいい大人の背中を見た気がしました。自分もこういう人間になりたいなと。

先日、立ち上げメンバーがようやく富山に来てくれ、皆でお疲れ様会を。

井波にて

それぞれのメンバーが富山への想いを強くしたようです。プロジェクトのアイディアは彼らがほとんどでしたが、富山在住のものとして、架け橋の役割ができて本当によかったと思います。

2020年06月07日

【お知らせ】,【選挙】

富山県知事選挙に向けた、推薦者選考について

昨日6月6日(土)、報道の通り、2020年10月に行われる富山県知事選挙における自民党推薦の候補者を選考する会が行われました。自民党の推薦を得ることを希望した、新田氏・石井氏のスピーチが行われましたので、ご報告します。自民党の富山県議会議員34名がお2人のスピーチを聴き投票しました。

昨夜、 私は SNSで速報として、自身が投票した方・理由を発信しました。 日頃から私を応援してくださっている支援者の方にご報告するためです。ただ、私の表現の拙さから想いが正確に伝わらない部分があり、SNSの難しさを感じました。

ご存じの通り、知事は「政党」が決めるわけではなく、「富山県民」が投票によって決めます。

今回はあくまで「政党」の推薦の話ではありますが、私のところには市民の方から「新田氏・石井氏の話を聞いてみたい」という声が複数届いていましたので、昨日のお2人のスピーチがどんなものだったのか、ご報告したいと思います。

私自身は、今回の推薦者選考過程をなるべく県民にオープンにしたいと思っていました。そのため、LIVE配信などをすべきであると執行部に提案してきました。結果としてLIVE配信の実現は叶いませんでしたが、私に今できることとしてこのブログを書きます。

※下記は私のメモをもとに記載します。

6/6(土)

13時30分~13時40分 新田氏

13時50分~14時 石井氏

でスピーチが行われました。

新田氏

私の原点は両親から学んだ、自分のことよりも誰かのため、という精神だ。

(以下、過去のご経歴の紹介がありましたが、ここでは割愛します。)

県政にかける想いは3つある。

1つ目は民間企業の当たり前を取り入れるということだ。

2つ目は誰ひとり取り残さない、多様な意見に耳を傾けることだ。脳関連障がいを持っている人を支援するパイロットクラブというものがある。JC活動で出会い、富山でパイロットクラブを立ち上げ、会長も務めた。

3つ目は時代を先読みして、スピード感を持って実行することだ。日本海ガスでは、地球温暖化防止のため、ガスの原料を天然ガスに転換するために莫大な先行投資を行った。国に先駆けて、スピード感を持って実行することの大切さが実を結んだ。

これから各自治体が移住者集めに必死になる移住の戦国時代に突入する。そこでは、選ばれる地方になる必要がある。テレワークが可能な超高速回線をいち早く整備し、行政手続きのデジタル化を推進し、遠隔医療や遠隔教育でトップレベルの医療・教育を提供しなければならない。

民間企業ではデジタル化は当たり前。台湾のマスク販売体制のように、データに基づく政策のスピーディーさを実現しなければならない。自分自身も1993年よりインターネットを活用し、今でもパソコン、スマホ、タブレットを使いこなし、チャットやZOOMも駆使している。

最後に、県民が主役の富山県、支える政治を実現したいと思っている。ワンマンではない支える政治を実現する。多くの県民が新しい知事を求めている。県議会、市町村、民間企業と心をひとつにして、県民の命、県民の幸せのために汗をかきたい。

石井氏

私は、ふるさとに希望を持って、県民が幸せに暮らせるような富山県を作りたい。

これまでの16年間では、約400億円の構造的財政赤字の解消、新幹線、税の偏在是正などに取り組んできた。構造的財政赤字が解消でき、ようやく自分のやりたいことがやれる段階に入った。

これからの富山県には、時代の先を読んだ、企画力・実行力が必要だ。コロナで県税は数百億円の減収になってしまうだろう。だからこそ、国にもお願いしながら、財源を見つけ、反転攻勢の手を打ち続けなければいけない。私の強みが活かせる。現在、好調のため予算額に想定より早く到達するコロナ関連の補助金があるが、そういう場合などには柔軟に予算額を増やして対応していくつもりだ。

コロナで改めて実感したことが2つある。

1つ目は東京一極集中の是正だ。今こそ、分散型国土を作る必要がある。2つ目はデジタルトランスフォーメーションだ。デジタル革命をこの機を逃さず、進めなければならない。

東京にあらゆるものが集まりすぎている過密の弊害にみんなが気付いた。ピンチをチャンスに変え、富山県への移住を強く訴えていきたい。また、新幹線の大阪延伸、県西部のLRT化、関電の黒部ルート開放、をなんとしても実現したい。

県政にはまだまだたくさんの課題がある。この解決のため、また、富山県の更なる発展、飛躍のために、県民のみなさまのお幸せのために、全力を尽くしてあたりたい。

以上が新田氏・石井氏のスピーチからの抜粋です。※メモできたことからの抜粋であることをお許しください。今後もお2人が街頭、SNSなどで発信されると思います。

結果は石井氏24票、新田氏7票、白票が3票。私は石井氏に投票しました。

ここからは私の判断の理由です。

私は、「民間目線・市民目線」を大切にしたいと思って活動しているつもりです(議員になったのは2年7か月前ですし、実際サラリーマンとして過ごした時間の方が長いです)。そのため、政治家としてもですが、いち「市民・県民」として話を聞いていました。

新田氏は10分間のスピーチのうち、手元の紙に視線を当てながらお話される時間が4割程度を占め、また、私には棒読みのように感じられました。県民にもこのように話されるのかな?と感じてしまいました。

私は、石井氏の武道館やテクノドームの進め方に不満があります。また、石井氏は長く県知事を務めています。ここらへんで後進を育てる側に回っていただくのもよいのではないか、とも思っています。

そのような想いもありますが、昨日の石井氏からは、これまでの取り組み、やり残したこと、そして「こういう富山県にしたいんだ」「私に担わせてほしい」という想いを述べられ、正直に言って並々ならぬ熱意を感じました。

政治には政策(これが無い方は信頼できません)、リーダーシップ(コロナで全国のリーダーを見て、なお感じました)、そして困難さえ乗り越える情熱が必要だと思っています。

政策は現職と新人なので横に置いても、情熱を感じられなかった方を選ぶことはできませんでした。

また、ここに至るまで、新田氏にスピーチの場が与えられない可能性もありました。しかし、「同等の条件を」と主張した人がたくさんいました。私もそのうちの1人だと思っています。いわば、新田氏に与えられたチャンスの場だったわけですが、準備不足を感じました。「今」に全力を傾けられない方は、応援できません。

新田氏は私が石井氏に投票したのを知った後も、個別にメッセージをくださいました。私のような若輩者にも気を配ってくれ、人として尊敬しております。また、選挙に挑戦される、そのこと自体にも敬意を表しております。ぜひ、頑張ってほしいなとも思います。

しかし、私は石井氏を応援します。石井氏の政策のすべてが私の考えと一致しているわけではありませんが、それはお互い「こうしたい」があるからであり、健全な形だと思っています。

私は覚悟を持って決めました。決めたからには全力で戦います。

立候補されるすべての候補者の方には、ご自身の言葉で県民に政策・想いを伝えていただきたいです。
富山県民が「この人に知事になってほしい」という人が見つかる選挙にしたいです。