2020年06月30日

6月定例会で私がした質問(2/3)

こんにちは、富山県議会議員の瀬川侑希です。

前回に続いて、6月定例会での2つ目のテーマ「テクノドームの別館整備」部分を掲載します。

続いて、「高岡テクノドームの機能拡充について」9問質問します。

テクノドームの機能拡充については、新高岡駅やイオンに近い好立地で、多様なニーズに対応し、親しまれ、県西部の活性化に繋がるような拠点施設にしたいという「背景」。1,000席や1,200席、どんな中身が入るという「機能」が前に出て議論されています。しかし、作ることで、どう人の流れが変わって、年間でどんな人がどのくらい来るのか、のような期待する効果がまだ分かりません。

ですが、期待する効果、は整備を決定してから後付けで決めることではなくて、先に期待する効果を見込んでから、初めて整備を決定できることだと思うわけです。

そこで1つ目の質問ですが、高岡テクノドームの機能拡充をすることで、どのような数値目標を達成しようとしているのか、商工労働部長にお聞きします。

→(回答)数値目標については、現状特段の設定はしていない。整備後には、稼働率、利用者数などを数値目標とすることも考えられる。

数値目標があって、そのためにはどういう施設にしなければいけない、だとしっくり来ますが、「どのくらい来るか分からないけど作る」だと、昭和の時代の作り方で、賢く縮小していく令和の時代には合わないように、私は思います。

次の質問に移ります。ここから7問はものづくり体験施設について聞きます。

先日、第3回のテクノドーム検討委員会が開かれ、場所、広さ、備える機能の具体的な方向性が示されました。基本的に全体に賛成しています。地元の要望も骨を折って反映してくれたとも感じています。ありがとうございます。しかし、1点だけ理解できない部分があります。

それは「ものづくり体験ができるワークスペース」です。というのも、例えば私の住む高岡市では、百貨店「大和」が撤退した御旅屋セリオに、行政の「高岡市」が今年度ものづくり体験施設を整備します。当然、県もこの動きを知っていたと思います。

また、市内各地にたくさんのものづくり体験施設が既にあるんですね。例えば能作さんにもある、金屋町にもある、山町筋にもある。

高岡以外だと、井波にもある、城端にもある。

あえて県が整備する意味が私には分からないのですが、別館に「ものづくり体験ができるワークスペース」を整備する理由について、商工労働部長にお聞きします。

→(回答)1回目の検討会で、「若者や親子連れが集い、交流できる機能」「県西部の活性化のための拠点としての機能」「伝統工芸、最先端のものづくり産業の技術などの体験」という声があった。検討会では肯定的な意見が数多く出された。このため、2回目の検討会で方向性の案として示したところ、検討会で賛同が得られた。

賛成があったのは理解していますが、一方で懸念の声もあったので、そこも含めて説明してほしかったです。

検討会では知事から「ものづくり体験については御旅屋セリオと役割分担し、相乗効果が出るように工夫する」との発言がありました。「役割分担、相乗効果」と言われると響きがよく納得しがちになりますが、私は申し訳ないんですけど、何回聞いても、まだ具体的なイメージができません。どのような役割分担、相乗効果を考えているのか、知事にお聞きします。

→(回答)御旅屋セリオのものづくり体験施設は中心市街地の活性化に資するものだと期待されている。正直に言うと、御旅屋セリオのものづくり体験施設の中身をもう少し具体的に教えてほしいという想いがある。これまでも聞いてきたが、まだまだ具体的な内容、詳細が定まっていない。内容や運営方針を踏まえながら、テクノドーム別館と擦り合わせ、役割を少し分担して相乗効果が出るようにしたい。テクノドームと御旅屋セリオはそれぞれ点として捉えるのではなく、それらを結ぶ高岡市の道路もあるわけなので、うまく繋げていけば相乗効果が出る可能性がある。一緒に手を繋いで頑張っていければいいと思っている。島谷さんが例えばパリで実演した時、目の肥えた現地の人が、ググっと惹きつけられ、熱意溢れる雰囲気になる。高岡や県西部のものづくりは日本だけじゃなく海外に対しても誇りにしていいものだ。同じことをテクノドームとセリオでやったら難しいが、例えば能作さん、島谷さん、折井さん、などなどそれぞれが素晴らしい。個性やスキルを活かして役割分担すればいいのではないか。ちょっとこの分野に関しては、想像力を拡げてもらえれば。決してダブることなく、十分成り立つと思っている。

知事の言っていることは理解できますし、熱意も伝わりましたが、それをやる施設を御旅屋セリオに作るので、あえて県が作る必要はないんじゃないか、というのが私の言いたいことですが、後ほどまさにその質問をしますので、一旦横道に逸れます。

県で、ものづくり体験施設を整備しようとするのは、県西部で、現在どのくらいのものづくり体験施設があるか把握していないからじゃないかと思ってしまいますが、現在どのくらいのものづくり体験施設があると把握しているのか商工労働部長にお聞きします。

→(回答)県の公式観光サイト「とやま観光ナビ」や富山産業観光図鑑をみると、県西部で23の施設がある。食に関する施設が6ヶ所、鋳物体験が5ヶ所、螺鈿や漆器が3ヶ所、和紙が2ヶ所、木彫刻が2ヶ所などとなっている。

その町その町に入っていけば、それだけじゃないということがきっと分かってもらえると思いますが、それでも数多く把握されているのに、県がものづくり体験施設を新たに整備すれば、どうしても機能が重なるので、役割分担しようと思っても重なると思いますし、観光で初めて訪れる方にとっては一緒に見えるんじゃないかと思います。

そうすると、市や民間のものづくり体験施設、「現在」頑張っている方です、その方たちとお客様を奪い合うことに繋がらないかと思うのですが、商工労働部長に所見をお聞きします。

→(回答) テクノドームのエリアは、県西部をはじめ県全体の活性化に資する拠点として大きな可能性がある。これを最大限に活かすために、機能の拡充を図る。これをきっかけに、先ほどの23の体験施設に関心を持ってほしい。それぞれの施設に誘う、回遊に結びつける。お客様を奪い合うのではなく、各施設を線で結ぶことで、相乗効果を発揮していきたいと思っている。

部長はそうおっしゃいますが、現に民間で、ものづくり体験施設が増えて、閉めざるをえなかった事業所もあります。県も参入すると余計拍車がかかるのではないでしょうか。わざわざ競合するようなものは高岡テクノドームに整備せず、むしろ県のものづくりを発信したいのだったら、「現在取り組んでいる」市や民間のものづくり体験施設をサポートするという考えはなかったのでしょうか。自分たちで0から整備するのではなく、「既存のものを応援する」というやり方もあるように思いますが、商工労働部長にお聞きします。

→(回答) 既存の施設とwin-winの関係にできるのではないかと考えている。今後既存施設と相談して、適切な連携、サポートに繋がるように、運営のあり方を検討していきたい。

ここまでしつこく市や民間と重なるから整備すべきじゃない、と5問聞いてきましたが、しつこいので、視点を変えて観光の観点から2問お聞きします。

新高岡駅すぐそばのテクノドームにものづくり拠点を整備すれば、確かに観光客には便利かもしれません。高岡銅器・漆器、菅笠、井波彫刻、蒔絵、和紙、などの体験が新幹線を降りてすぐの場所でできるようになります。でも、私たちが見せたい富山県ってそういう富山県でしょうか?新幹線を降りて、体験をして、食事をして、また新幹線で別の場所に行く。

そうではなくて、高岡だったら、金屋町を歩いて体験する。能作の工場見学をした後に体験する。井波の町を歩いて、トントントンと町のあちこちから木彫りの音が聞こえる環境で体験するから価値があるのではないでしょうか?体験を便利な場所に集めるのではなく、その町その町を訪れてもらって、食事もして宿泊もして、その町全体を感じてもらう、のが富山県が目指すべき体験や観光ではないでしょうか。

以前、知事も井波で木彫り体験をしたと聞きました。体験じゃなくて視察だけだったかもしれませんが、視察をした知事になら、きっと分かってもらえると思います。井波で体験するからこそ価値があると考えますが、知事に所見をお聞きします。

→(回答) 2年前に「トモル工房」を視察した。地域に根付いた歴史や文化や風情などを現地に出向いて、現地の雰囲気を肌で感じた上で体験するのは素晴らしいことだと思う。「現地で体験するからこそ価値がある」というのは、そういう面も確かにある。一方で、現地以外においてものづくり体験した場合であっても実際に材料を手に取って作ってみることで、材料の質感や手触り、音や匂い、五感を使った体験ができ、ものづくりへの関心を高めるきっかけとして十分に効果がある。その上で、現地に行くと、まさに相乗効果がある。ニューヨークで富山の伝統産業を展示した時、現地の厳しいバイヤーから「1つ欠点がある。売値を2倍か3倍にしなさい。」と言われた。その方は買ってくれ、その後富山にも来てくれた。本物を体験するのが1番だが、そこにアクセスするのに、まずは入口として触れてみるのが結構大事だと思う。北陸新幹線大阪延伸を見据えると、テクノドームをいかに魅力的にするかはとても大事。そうすると、高岡や県西部が1番誇りにできること、国際的に見てもこれはいいなと思ってもらえることは何か、と考えると、例えば伝統工芸のものづくり体験は、国内あちこちでできることではないので、アピールの材料にしたい。御旅屋セリオにも構想があるようだから、できるだけ擦り合わせをして、うまく点と点が繋がるようにしたい。

井波だけじゃなく、市や民間が、現地で様々な取り組みをしているんですね。私は県がそこに割って入るべきじゃないと考えます。

富山県はそれぞれの地域に魅力があって、それぞれの地域の魅力が輝くからこそ素晴らしい富山県になるんだと思うんですね。真ん中に集めるんじゃなくて、現地に行ってもらう。地方創生ってそういうことではないでしょうか?滞在型観光を促す観点からも、ものづくり体験施設は市や民間など現地に譲り、県で整備すべきではないと考えますが、知事に所見をお聞きします。

→(回答) 市や民間とダブるところは避けろと言うが、検討会には市長も入っている。本筋は、高岡、県西部、富山県が何をもって世界と戦うのか、私はものづくり体験というのはひとつあると思う。

高橋市長は優しいので知事にそこまで言わないのかもしれませんが、高岡市は御旅屋セリオを立て直そうと、ものづくりでまちづくりしようと、高岡市必死に取り組んでいますので、高岡市とバッティングするこのものづくり施設だけは、ぜひ再検討をお願いしたいと思います。

この項目最後に、これはものづくりだけに限定するわけではなく、広い意味で聞きます。藤井大輔議員も堂故参議院議員の「市町村がFWで、県はそこにパスを送るMF」という考えを紹介していましたが、私もまさしくその通りだと思います。どこも同じ風景の市町村ではなく、県内15市町村がそれぞれの特色を出して輝く。その集合体が富山県。それには、県は市町村の取組みをサポートすることはあっても、市町村と類似の取組みを進め市町村のまちづくりを邪魔することはあってはならないと考えますが、知事に所見をお聞きします。

→(回答) 市町村と県は対等、協力の関係。住民に身近なものは市町村。県は広域的な施策を担う役割分担が必要。一方で、県・市町村ともに厳しい財政事情が続くので、役割分担しながらできるだけ連携協力して、色んなことを戦略的に総合的に進めていくことが必要。これまでも市町村のまちづくりを支援するということで、様々支援してきた。テクノドームは県と高岡市が一緒にやってきた事業。高岡の希望も聞いてやってきた。基本的には県は基礎的自治体である市町村をサポートするMFだが、行政には様々な分野があるので、この分野はちょっと時間がかかっているから自らシュートしようというのもたまにはあるが、今後とも役割を果たしていきたいと思っている。

しつこく聞きましたが、それだけ気にしているということなので、ご容赦・ご理解頂ければと思います。本日、石井知事の考えが聞けてよかったと思っています。

ただ、テクノドームのものづくり体験施設には反対ではありますけど。

以上が2つ目のテーマ「テクノドームの別館整備」部分です。次回に続きます!

ありがたいことに、北日本新聞と富山新聞が、テクノドーム部分を切り出して記事にしてくれました。

なお、映像は、

https://toyama-pref.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=1071

こちらで9月までは視聴できます。よかったらぜひ!