2020年07月29日

なぜ議員が首長(市長や知事など)を応援する?

おはようございます、富山県議会議員の瀬川侑希です。

富山県では、10月に知事選挙があります。

現在のところ、現職石井さんと新人新田さんが立候補を表明しています。

この選挙に向けて、私が所属する組織は、石井さんへの「推薦」を決めましたが、その際、

「なぜ片方のみを推薦するのか」

「両方推薦する、または両方推薦しない、ということはできなかったのか」

というご意見が届きました。

もちろんそのように決定をする方向もあったでしょうが、私自身、一方だけを推薦した方がよいのでは、と思っていました。

あくまで自分の考えになりますが、

そう考え、同意した理由を述べたいと思います。

色々な考えがありますので、自分の考えが唯一正しい、と思っているわけではありません。

(なお、「一方だけを推薦する理由」を述べるのであって、石井さんを選んだ理由を述べるわけではありません。私が石井さんを選んだ理由は以前こちらに書きました。)

議会での質問は、議員の仕事の目的ではない

そもそも、
「二元代表制で、議員側が首長側を応援するのはいかがなものか」
というご意見があります。

国会と違って、地方議会は、

予算を編成して執行する「首長(市長や知事など)」と、

行政をチェックし提言もする「議会(議員)」が、

どちらも住民の直接選挙で選ばれます。

「首長」と「議会」は対等な関係であり、常に緊張関係を持つべきだ、というご意見です。

しかし、「応援する=緊張関係がなくなる」、という単純な構図ではないように、私は2年半しか議員をやっていませんが、少なくともそう感じます。

行政の提案は緊張感を持ってチェックしますし、応援したからといって議員の提言がすんなり通るわけではありません。

では、なぜ「応援する」のか。応援しなければいいのではないか。

議員には、「議会」の場で、質問する権利があります。

しかし、質問することは議員の仕事ですが、仕事の目的ではありません。

「質問」が目的ではなく、

「住民の要望を届け、住民の希望を叶えること(その結果、住民が幸せに暮らすこと)」「自分たちの政策を実現する」が議員の仕事の目的であると考えるため、

私たちは「質問以外の場」でも、行政に様々な要望を届け、一部実現しています。

「住民の希望を叶える」という、どうしても達成したいものを達成するために、

そのための手段として、議会質問したり、質問以外の場を使ったり、方法を工夫してアプローチしているつもりです。

「住民の希望を叶える」「自分たちの政策を実現する」

そのためには、「質問以外の場」でも、話を聞いてくれる協力関係を築いておくことはとても重要です。

(私は高岡市議会で1人会派に所属していました。「質問以外の場」で話を聞いてもらうことに大変苦労しました。)

例えば、富山県における中山間地の政策。

行政よりも議員の方が熱心で、行政を巻き込んで進んできたと聞いています。議員が行政を道案内する形で、現場を見てもらい、問題意識を持ってもらい、政策に落とし込んでもらう。住民の要望が議員を経由して行政に届いた、よい例だと思っています。

また、コロナ対策への要望は特に顕著で、

・減収事業者へ最大50万円の県独自の支援金

・企業再起支援事業補助金の3億円→10億円に拡充

・フェイスシールドの県内生産

・県内で学ぶ県外出身大学生への富富富の配布

・手話通訳者のフェイスシールド

などなど。この数ヶ月、住民からたくさんの要望が議員に届きました。もちろんすべてが実現したわけではありませんが、例えば上記などは、まさに目の前でやり取りが繰り広げられ、実現していきました。

コロナ対策も中山間地も議会質問だけでは、こうはならなかったと思います。

「住民の希望を叶える」「自分たちの政策を実現する」ために、首長を応援する

私はこういう理解でいます。

みなさん、何かを実現したくて議会に来ているはず。

「住民の希望を叶える」「自分たちの政策を実現する」

これをどうしても実現するために、首長を応援しているのだと思います。

議会でチェックだけをしていては、チェック機能は果たせますが、要望は実現していきません。

しかし、

応援してもらった人たちだからといって、議員側の要望が何でも通るかといったら、当然そうではありません。

また、応援した人だからといって、行政の予算編成提案をそのまま通しているつもりもありません。ここは各議員の議会質問などを見ていただければご理解いただけるかと思います。

冒頭の質問に戻りますが、

「なぜ片方のみを推薦するのか」

「両方推薦する、または両方推薦しない、ということはできなかったのか」

そのように決定をする方向もあったでしょうが、そうすると、自分たちの政策実現スピードは確実に遅くなります。

片手で握手しながら、片手で牽制し合う。

両手で牽制し合うわけではなく。

微妙なバランスですが、目的はあくまで、「住民の希望を叶える」「自分たちの政策を実現する」 であり、そのための行動をしたいと思います。