2021年05月03日

関野神社酒井さんを偲ぶ ~御車山祭の日を迎えて~

こんばんは、富山県議会議員の瀬川侑希です。

上記は2年前の「高岡御車山祭」の写真です。新型コロナウイルスの影響で、昨年は中止。今年も中止ではありましたが、祭りの保存継承のため、7基のうちの1基、小馬出町の山車のみ約740mの特別奉曳(ぶえい)が行われました。

豪華絢爛な山車に注目が集まりますが、実は高岡御車山祭は「関野神社」の春季例大祭です。

5月1日、御車山祭の日を迎え、追悼の意を込めて、先日亡くなられた関野神社禰宜酒井さんとの思い出について書きたいと思います。

私と酒井さんの出会いは2012年になります。その頃は東京に住んでおりましたが、夫婦お互いが高岡市出身であったため、関野神社で結婚式を挙げることに決めました。

私たちはオーソドックスな結婚式を考えていましたが、「一生に一度だから変わったことをしよう!」と次々提案くださったのが酒井さんです。

(結局、変わったことはしませんでしたが、)神職の堅いイメージとのギャップに驚き、強烈なインパクトがありました。

結婚式当日は高岡駅にもあるおりんを鳴らし祈願頂き、高岡らしい結婚式になったなぁとしみじみしたのを今でも覚えています。

その後2015年にUターンしてからは、お祓いや昼粥講などで時々訪れていましたが、2018年頃から、『ある相談』を受け、月1回のペースでお会いするようになりました。

相談のきっかけは癌からの復活でした。酒井さんは癌を患われましたが、治療の末克服されました。そして、一度死を覚悟したことで、「何も恐れるものはないので、大好きな高岡のために残りの命を使いたい」と決意をされたようです。

癌から復活された酒井さんは、高岡のある意味象徴であり、自身が禰宜を務める関野神社の例大祭「御車山祭」を、もっと市民から愛され、もっと市外の方にも楽しんでもらえるものにしたいと考えていました。そして、象徴である高岡御車山祭が変わることで、高岡市民に挑戦する気持ちをもってほしいし、元気を与えたい、と思っていたようです。

伝統ある祭りのため、違和感を感じる関係者もいらっしゃるかもしれませんが、酒井さんの考えを紹介させてください。

酒井さん曰く、「神事は伝統に則って行えばよい。しかし「祭り」は住民に楽しんでもらうためにやるものだ。伝統にこだわるのではなく、どうしたらより楽しんでもらえるか、どんどん変わっていっていい。」

関野神社のHP下部を見てもらえれば分かりますが、御車山祭は昔は3基の神輿を伴っているなど、今と同じではありません。御車山祭自体が変わってきて今の形になっているので、これからも変わっていい。酒井さんはそのような考えをお持ちでした。

高岡關野神社公式サイト | 富山県高岡市 | 日本 (takaokasekinojinjya.com)

私にされた『ある相談』とは、

「御車山祭の先頭をミッキーマウスに務めてもらいたい」

というものでした。

さすがに最初聞いた時は、頭が「?」になりましたが、

関野神社では巫女舞を行っており、その中に「浦安の舞」というものがあります。酒井さん曰く、浦安の舞を大勢が踊れる関野神社は日本有数なのだそうです。そして、「浦安の舞」の「浦安」はディズニーランドがある浦安市の名前の語源という説があります(諸説あるようです)。

関野神社の浦安の舞と、浦安市のディズニーランドで交流ができないだろうか、というものでした。

その後、打ち合わせを重ねる中で、いきなりミッキーマウスは難しそうなので、

一歩一歩階段を登りましょう、まずは高岡市民にもっと浦安の舞を見てもらいましょう、という方向になり、イオンモール高岡増床記念という形で、東二塚の獅子舞とコラボレーションし、浦安の舞を奉納しました。

その後も音楽や漆、食、そして高岡のことなどについて色々話してきましたが、

酒井さんは癌が再発し、3月23日帰らぬ人となりました。

「「祭り」はどんどん変わっていっていい」

伝統を守るべきだという意見もあるかもしれませんが、私は酒井さんのこの言葉に何か大事なことに気付かされた気がしています。これからも大切にしていきたい言葉です。

御車山祭と絡まない形になるかもしれませんが、酒井さんのためにもいつかミッキーマウスを高岡に呼んで、高岡の上空にいらっしゃるであろう酒井さんにもお見せしたいと思います。

実は、高岡駅の発車メロディーや、市内小中学校のチャイムは「おりん」の音になっています。これは酒井さんの発案、尽力のおかげだと聞いています。

目には見えませんが、高岡の「音」を私たちの身体に刷り込んでくれました。

おりんのチャイムを聞いた小中学生が大人になって、この街を引っ張っていく立場になった時、高岡市はまたひとつ変わるんじゃないか、、、そんなことを思っています。

酒井さん、私たちに色々なものを残してくれ、ありがとうございました。安らかにお休みください。