2020年01月19日
オガールに行ってきました。
こんばんは、富山県議会議員の瀬川侑希です。
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先週、岩手県紫波町のオガールへ視察に。街づくりや行政に関わる人なら、一度はその名を聞いたことがあるかもしれません。
「公民連携」という、これまで行政が行ってきた分野に、民間のアイディアや資金、ノウハウを活用することで、公共サービスの向上や業務の効率化を図るスキームの成功事例として知られています。
公民連携はPPP(Public Private Partnership)とも言われます。
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成功事例である理由の1つに、オガールは「稼ぐインフラ」になっているという点があります。民間が施設を整備運営し、町に地代と固定資産税を払う。町はそれを図書館などの維持管理費に充てる。中核施設オガールプラザのテナント入居率は100%で、広場でのイベントがあると使用料も入ってきます。
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オガールの取り組みは本やネットなどで把握してはいましたが、
今回行った目的は、「公民連携が大事なのは分かる。しかし、進める上で『何が肝なのか、何が壁になるのか』、本などには表れない『実際のところ』を聞きたい」、というものでした。「民間の力を!」と私も言ったことがありますが、実際を知らないので薄い発言になっていないか、危機感があったからです。
富山県では来年度から80億円程度の武道館建設、テクノドームの増改築など、大型の公共施設整備が続きます。また市町村では学校の建て替えなどが日常的に起こっています。
今やもう、行政が一から十まで整備する時代ではありません。民間と連携し、少しでもサービスを高めたり効率化できないか、もっともっと模索すべきであると私は考えています。
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「オガール」とは、「成長」を意味する紫波の方言「おがる」とフランス語の「駅」を意味する「ガール」を組み合わせた造語とのこと。まずこのネーミングが素敵ですよね!
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オガールプロジェクトは本やネットでたくさん紹介されているので、ここでは詳しく説明しませんが、いくつかピックアップして。ちなみにプロジェクト全体を見るならこの本がおススメです。
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施設紹介①:図書館
決して大きな図書館ではありません。
しかし、入口すぐに絵本コーナーがあることから、この図書館のメッセージが伝わってきます。
帯だけで本を選ぶ企画も。本好きにはたまりません。
町の基幹産業、農業に関する本を充実させているのもこの図書館の特徴です。「待つ」だけでなく、農家のもとへ「出張」して本を届けるサービスもやっています。
そして、ユニフォームまで農業にこだわっています!ミレーの農婦の絵をイメージしたワンピース。このように細部まで徹底されているので、訪れる人は心地よさを感じるのではないでしょうか。
岩手県出身古舘さんの描く、ハイキューのコーナーも。
図書館登録者のうち、3割は町外の方というのもオガールの成功を裏付けるデータです。
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施設紹介②:体育館
敷地の一角に「オガールベース」という施設があります。なんとここは日本初のバレーボール専用体育館です。
「タラフレックス」という、世界大会で使われる床と同じ素材(バレーボール特有の摩擦火傷が抑えられるらしいです)、撮影したプレーを数秒後に大画面で確認できる映像遅延装置など、競技者視点の施設を整備し、全国から合宿にやってきます。
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その他、平日の昼間に吸い込まれるように人が集まるレストランや、
「稼ぐインフラ」オガールの中でも稼ぎ頭である産直施設、
週末には何かしらのイベントが開かれる広場、
など、参考になる事例ばかりでしたが、
これらの事例に共通するのは、
「現実からの逆算のアプローチ」
であると感じました。
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行政の作る施設は、往々にして、
「これくらいの人が来るであろう」「このくらいのテナントが入るはず」
という「予想」のもと施設の規模が決められます。思い込みと言ってもいいかもしれません。
中には、「これくらいの人が『来てほしい』」という願望まで入って、ますます現実と離れていく場合があります。
結果、オープン時にはテナントが入らず、赤字からのスタート。(手元資金があるのでそのような判断になるのかもしれませんが、それはあくまで税金です。)テナントを埋めるのに何年もかかったり、テナントが全部埋まっても赤字、という施設もたくさんあります。
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しかし、民間主導のオガールの手法は違います。先にテナントを見つけ、回収できる範囲で事業を行うのが大前提。
実際に中核施設のオガールプラザは、当初3階建ての予定でしたが、2階建てに変更しています。
収入が決まってから、支出を決める。この順番が絶対に大事とのこと。
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オガールをアテンドしてくださったオガール企画合同会社相談役の八重嶋さんは、
「公は、民に委ねる勇気があるか」
「民は、『公のため』という気持ちで働けるか」
この両方が大事とおっしゃいました。非常に納得できました。我が街でも1件でもこのような事例が作られるよう、頑張っていきたいと思います。