2019年06月27日

6月定例会で私がした質問

こんばんは、富山県議会議員の瀬川侑希です。

本日で6月定例会が閉会しました。私にとって初めての県議会定例会!

一般質問の機会も与えられました。初めての議会とはいえ、市議会で経験していたので、固まるような緊張はしませんでしたが、選挙で託して頂いた思いを届けたい!と、いい意味で緊張感をもって、気合十分で臨みました。

うまくできた部分、できなかった部分、どちらもありますが、いずれにしろ大事なのは、ここで終わりではないということかと思っております。今回した質問が、どう政策に繋げられるか実現できるか、が大切!この質問はあくまできっかけ作り、と考えたいと思います。

さて、本定例会は補正予算がなく、また選挙後最初の議会ということで、各議員の想いのこもった議論が展開されました。聞いて初めて気付かされることも多く、やらなければならないことは本当にたくさんあるなと感じました。

「あれができていない」「これが足りない」
もちろん足りていないことは目に付きますし、私も主張しがちですが、最終日を終えての感想としては、令和の時代だからこそ、それ以上に「何をやめるか」「何を減らすのか」をもっともっと議論しなければいけないように思いました。「やめる、減らす」の話は避けたい話題ではありますが、これに逃げずに解答を出すのが、我々政治家と行政の責任のように感じた、そんな定例会でした。

さて、今回は6月定例会で私がした質問を掲載します。(長いです…。)

6月定例会の開催にあたり、「県債残高の返済計画と稼ぐ県政について」「県内の小学校再編について」「健康寿命日本一について」の大きく3つの項目にわたり、合計13問の質問をする。

まず、県財政全体の大きな話から始め、次に、個別の政策の中でも、これから各地で起こることが予測される小学校再編について、そして最後に、こういう富山県になったらいいな!という願いをこめて、夢のある健康寿命日本一について質問したい、
このような意図で3つのテーマを選んだ。

①最初に、「県債残高の返済計画と稼ぐ県政について」の中でも、「県債残高の返済計画について」。

今年度の一般会計当初予算は約5,500億円の富山県だが、その2倍以上にあたる、1.2兆円を超える借金を抱えている。

もちろん、石井知事になってから、財政状況は大変改善された。4年前の平成27年度に48年振りに県債残高を減少させたこと。また、平成28年度予算編成時に、約400億円の財政構造赤字を解消させたことは、石井知事だからこそできたことだと、高く評価している。

一方で、県債残高については、年度当初に「今年度減らす分」が提示されるだけで、将来に向かってどのような計画で、またどのようなペースで減っていくのか、県民には示されていない。そこで1つ目の質問だが、「1.2兆円を超える県債残高を、単年度の計画だけでなく、今後どのような計画で減らしていくのか、教えてほしい。」

→(回答)経済状況などによって県債発行は左右されるため、具体的な見通しを立てることは困難。しかし、適正な水準に抑制することには努めていきたい。

②同時に見ておかなければいけないのは、人口も10年以上前から減少が続いているという点だ。2つ目の質問として、「確かに4年前から県債は減少しているが、1人当たり県債残高でみると、ここ数年約116万円でほとんど変わっていない。これから生まれてくる子どもたちに、これからの世代に、負債を少しでも減らしてバトンタッチするために、もっとペースアップして返済していくべきだと考えるが、見解を聞かせてほしい。」

→(回答)建設事業を中心に予算を抑制することになり、望ましくないと考える。

③自治体の財政の健全化を計るために、いくつかの指標があるが、その中に「将来負担比率」というものがある。将来支払っていく借金の大きさを、その自治体の財政規模に対する割合で表したもの。富山県は250%(平成29年度末)。私は財政再建中の高岡市から来たが、高岡市の将来負担比率は180%、もちろん県内15市町村中最下位だが、富山県はそれを上回る。市町村と県は単純に比べられるものではないが、全国の都道府県と比べても、富山県の将来負担比率は全国47都道府県中42位。もちろん1つの指標であり、この数字だけが全てではないが、将来世代にツケを残さないために、少しでも減らしていくべきではないか。「将来負担比率が全国42位であることへの見解を聞かせてほしい。」

→(回答)北陸新幹線の整備と急流河川が多いという富山県の特性も一因。

④昨今、SDGsもそうだが、様々な分野で「持続可能性」が意識されるようになっている。私は、自治体財政も、より持続可能性を意識して運営していく必要があると思う。持続可能な自治体運営をするには、歳出を抑える一方で、歳入を増やす政策に力を入れていく必要があると考える。歳入が増えれば、その分歳出を削らなくてすむし、やりたくても財源がなくてできなかった政策もあるはずだ。借金返済に回すこともできる。そこで、次に「稼ぐ県政を目指して」、という観点で質問する。

富山県は一大消費地である、東京都に、宿泊施設やアンテナショップなど、いくつかの施設を持っている。

まず、都内にある、「富山県赤坂会館、いきいき富山館、日本橋とやま館、それぞれの役割をどう捉えているか」、教えてほしい。

→(回答)(赤)富山県関係者への割安な宿泊施設という役割がメイン。(い)(日)県産品を販売するアンテナショップ。(い)食品を中心とした普段使い。(日)富山の上質なライフスタイルなどを提案。

⑤先日、日本橋とやま館においては、2年連続で売上高が前年度を超えた、という嬉しいニュースがあった。フェアやトークショーなど、富山にいるのでなかなか伺えないが、参加したくなるような多彩なイベントが定期的に行われており、その努力あっての売上増だと思う。

富山県赤坂会館、いきいき富山館、日本橋とやま館、この中でも特にテコ入れのしがいがあるのは、赤坂会館だと思っている。

次に、「富山県赤坂会館の利用促進に向けたこれまでの取り組みと、ここ数年の客室稼働率の推移」を教えてほしい。

→(回答)格安宿泊パックや割引プランを用意。定員稼働率は45%前後。

⑥事前に調べたところでは、直近の2017年の稼働率は45%で、売上は1億円弱とのこと。一方で、観光庁によると、2018年の東京都内の客室稼働率は全体で約80%。30%以上の開きがある。このことからも、工夫次第ではまだまだ伸ばせる余地があり、仮に10%客室稼働率が上がれば、県の収入が2000万円増える。「黒字だから」、とそれでよしとするのではなく、少しでも歳入増に取り組んではどうか。

また、先にあげた3施設「富山県赤坂会館、いきいき富山館、日本橋とやま館」をもっと有機的に絡めてはどうか。点在させるのではなく、結びつけることで、それぞれの魅力がさらに増すと考える。

例えば、日本橋とやま館では富山県のブランドイメージを高めるために、富山の上質なライフスタイルを大いに首都圏で発信する場にしたい、と知事もおっしゃっている。この項目最後の質問として、その「日本橋とやま館で発信したものを、体験・体感する場として、器や食にこだわった上質な富山のライフスタイルを提案する客室・プランを作り、売り上げアップに繋げては」いかがか。

せっかく人気が高まっている日本橋とやま館だから、日本橋とやま館から赤坂会館の流れ、また逆に、赤坂会館で富山の器や食に触れ、日本橋とやま館に買いに行く、という流れ作りに挑戦してはどうか。繰り返しになるが、赤坂会館の稼働率を上げることはそのまま富山県政の財源になる。

→(回答)重要な視点だが、コスト面の検証も必要。

⑦次の大きな項目として、県内の小学校再編の動きについて。

本年4月には魚津市で3小学校が統合し、氷見市でも来年4月に3小学校が統合予定。大規模なところでは、高岡市は今後10年をめどに、26の小学校を19校に再編成したい考え。今後、県内各地でこのような小学校再編の動きが起こっていくと考えられるが、まず、「県内の小学校再編の動きを、県としてはどのように評価しているのか。」見解を伺う。

→(回答)あくまで生徒の教育状況の改善を目的に、総合的な観点から検討してほしい。

⑧次に、富山県の場合、市立・町立の小学校がほとんど。施設の建設・維持管理はその市町村自治体に責任がある。一方で、教員の給与は県から出る。「一般的に、小学校再編が行われた場合、教員の給与に対する県の財政負担は減るのか」。

→(回答)減る。が、再編統合校には、一時的に教員が多く必要な場合もある。

⑨教員の給与は1/3は国が負担する。残り2/3は県の負担だが、大部分は地方交付税で充当される。しかし、県負担と地方交付税はイコールではなく、いくらかは県の負担が減るはず。減った分すべてとは言わないが、市町村自治体は施設の建設・維持管理に投資が必要だ。「減った分のいくらかを、IoT環境、備品の整備など、該当の市町村の教育環境への支援に充ててはいかがか」。

→(回答)既に市町村では有利な財源措置がある。再編に伴う加配教員などで支援したい。

⑩最後の大きな項目として、健康寿命日本一について。

最新の平成28年の調査では、富山県の健康寿命は男性で全国第8位、女性で全国第4位と素晴らしい成果だった。今年も調査年であり、結果に一喜一憂するのではなく、息の長い取り組みこそ大事だとは分かっているが、それでも、富山県の掲げる「健康寿命日本一」にあと一歩のところまで来ており、期待せずにはいられない。

思うに、富山には数多くの誇れるブランドがあるが、「健康寿命日本一」も大きなブランドになり得ると思う。富山県のライフスタイルをすると健康寿命が伸びる、となると移住者がさらに増えるかもしれない。そこでまず、「健康寿命の延伸に向けたこれまでの取組みと、その成果について、」聞きたい。

→(回答)野菜摂取、ウォーキング啓発、小中学校給食の15%減塩化、健康経営企業の表彰などを行い、結果も出た。スポーツ庁長官賞の受賞にも繋がった。今年は啓発ソングを作った。

⑪次に、健康寿命を伸ばすには正しい食生活と適度な運動が大事だと言われているが、今回は特に運動面から質問する。

富山県は3月に、「富山県自転車活用推進計画」を策定し、「自転車を活かした健康づくりの推進」や「サイクルツーリズムの推進」など4つの目標を定めた。この計画以前から、サイクリング文化を育てようと富山県も積極的に関わり、県内のサイクリングイベントはとても多くなったし、日常の感覚としても外でサイクリストを見かけることが多くなったと感じる。計画により、この流れが加速し、より多くの方がサイクリングを楽しむ風景を想像すると、大変ワクワクする。

そこで質問をする。現在、富山県は「富山湾岸サイクリングコース」や「田園サイクリングコース」を整備している。計画では、コースの延長も指標に入れているが、ぜひ新しいコースも検討に入れてはいかがか。具体的には「来年の東京オリンピック 聖火リレーのコースも追加してはどうか。」

これには2つ理由がある。

1つには、サイクリングとオリンピックを別物と捉えるのではなく、うまく結びつけて県民の運動習慣定着、健康意識醸成に繋げられないかという思い。

もう1つには、富山県の様々な風景、また寄り道しての様々な県内のグルメを楽しんでいただくために、やはりコースの数は大事だと思うからだ。すべての市町村を回る聖火リレーのコースは、これにぴったりだと思う。

→(回答)魅力的な提案だが、コース決定を待って、サイクリングコースとして適当か見極めていきたい。

⑫いよいよ来年、東京オリンピックパラリンピックが開催される。

本大会自体は東京を中心とした地域で行われるが、県内でも事前の合宿や世界レベルの大会が開かれる。

最近聞かなくなったが、オリンピック開催が決まってからしばらくは、「レガシー」という言葉がよく言われていた。日本語にすると「遺産」。オリンピックは来年夏の開催だが、大会が終わった後、日本に、それぞれの地域に何を遺せるのか考えよう、という意味で使われていた。

これは決して、スタジアムや道路などのインフラの話だけではない。大会自体は東京だ。しかし、我々地方都市にも大会を通じて遺せるものがあるはず。オリンピックが通過して終わり、にしてはいけない。

例えば、県民の普段の健康意識の向上につなげられれば、県民にとってこれ以上ない「レガシー、遺産」になるのではないか。

また、県内にはいくつものプロスポーツチームが年間を通して試合をしている。

そこで、「オリンピックを契機に県民の健康意識をより高めるために、県や民間の歩数計アプリを絡めてオリンピック事前合宿会場や、プロスポーツ競技会場への徒歩移動を促す、ラジオ体操参加を呼び掛けるなど、同時に健康施策を実施してはどうか。」

→(回答)今年秋にはアプリにGPS機能を追加するので、活用できうる。

⑬最後の質問に移る。

県の歩数計アプリ「元気とやまかがやきウォーク」は早い段階で開発され、少しずつ利用者を伸ばしている。私も初期から利用しているが、ポイント制度やクイズもあり、楽みながら利用できる設計になっている。

一方で、最近、各市町村で、ポイント制度やアプリ開発の動きがある。もちろん、それぞれに特有の機能があったり、目的は違うのだろうが、いち県民の感覚からすると、市町村と県で、それぞれがアプリを開発していては、税金の無駄遣いのようにも感じる。そこで、「県の歩数計アプリ「元気とやまかがやきウォーク」がある一方で、各市町村でポイント制度やアプリ開発の動きがあることへの見解を聞かせてほしい」。

→(回答)独自に工夫を凝らしているものと思うが、アプリは県民全員に公開しているので、市町村のアプリ開発の際は本アプリを活用することも検討してほしい。

知事は常々「文化力で県の魅力を高めたい」とおっしゃっている。文学や芸術、デザインも文化だが、「する」「見る」「支える」色々な形でスポーツに関わる、県民の健康意識が高い、というのも文化力であり、ブランドになりえると思るので、ぜひ引き続きの環境整備・健康施策の推進をお願いする。

以上で私の質問を終わる。