2019年12月12日

11月定例会で私がした質問(前半)

こんにちは、富山県議会議員の瀬川侑希です。

本日で11月定例会(現在12月ですが、11月に始まったからそう呼ぶ)が閉会しました。

議論以外のトピックスとしては、今議会から、今までできなかった「スマホ・タブレットでの視聴」ができるようになりました。まだまだと思われるかもしれませんが、県民に「伝える」ために一歩一歩前進しているのを感じます。

まとめは次回ブログに載せるとして、

今回は11月定例会で私がした質問を掲載します。長いので、前半と後半に分けますね。

富山県では、有識者会議「健康・スポーツ環境充実検討会」を設置し、昨年8月から1年間議論。最終的に検討会から「全天候型体育文化施設整備のあり方」という報告書が提出されました。「武道館機能を有する5,000席程度の多目的施設を整備することが望ましい」という内容になっています。

当初は8,000人規模のアリーナを!という意見もありましたが、財政状況を考慮し、採算も考え、現実的なラインに落とし込んでいった、そういう議論でした。

これに関して、異論はありません。

しかし、「場所」に関しては、1年間の議論で「富山駅」という言葉が2回しか出ていないにも関わらず、富山駅周辺で議論が進んでいること、そして実際に富山駅で整備されるのなら、それに対しては非常に強い懸念があります。

懸念のポイントは3つあります。

1つ目はスポーツ施設・文化施設の「富山市一極集中」にさらに拍車がかかると感じるからです。9月定例会で川島議員も指摘していました。

富山のことを話す前に、まず、1番最初の質問として、

①東京一極集中の弊害は何だと考えるかを、石井知事にお聞きします。

→(回答)過度に東京に集中することで、地方の人手不足、災害リスクなどの弊害がある。

7月23日に富山県で行われた全国知事会議で、石井知事は「地方はどんどん人が減る一方で、東京にあらゆるものが集まり、災害リスクなど過密の弊害が起きている」と言っています。私はまさしくその通りだと思いましたし、人口1,400万人を代表する小池東京都知事に対して一歩も引かずに議論をする石井知事を誇らしく思いました。

しかし、東京一極集中の弊害を主張する一方で、足元の富山県内では富山市一極集中になっているのであれば、それはちぐはぐな印象を受けます。

こちらは、富山県が保有する施設の中で、スポーツ施設・公園・文化施設、つまり県民が憩える場所を抜粋し、市町村ごとに床面積の割合を示した表です。参考に人口の割合もつけています。ご覧のとおり富山市に64.5%の施設が集まっています。

次の質問として、

②富山市に県のスポーツ施設・公園・文化施設が集中していることに対する見解を、石井知事にお聞きします。

→(回答)地域バランスにも配慮することが重要。勝興寺に70億円かけた。県内で1カ所の施設はどうしても県庁所在地に集中しがちであるのはやむをえない。

都知事がそう言ったら知事は納得しますか?

知事はそう言いますが、しかし、県への税金はどこの市の住民であろうと「平等に」払っています。だからこそ県の施設を整備する場合は、完全な公平はできないにしても、バランスに十分配慮する必要があると考えます。

さて、今回の多目的施設に関して、整備の担当部署は総合政策局なのだと思いますが、県有施設が県内に分散することに対して、ほかの部署の見解を聞いてみたいと思います。

厚生部長にお聞きします。

③県全体の健康づくりを考えると、運動施設は県全体で分散した方がよいと考えますが、見解はいかがでしょうか。

→(回答)身近な場所に運動施設があるのは県民の健康づくりに望ましい。

スポーツ施設は災害時には避難所になります。危機管理監にお聞きします。

④県全体の災害リスクを考えると、避難施設は県全体で分散した方がよいと考えますが見解はいかがでしょうか。

→(回答)必要な地区で適切に指定されるべき。

このように、ほかの部署は、むしろ分散させた方がいいと言っています。

先ほど、富山駅周辺での整備になることに対して、懸念のポイントは3つあると言いました。

1つ目は「富山市一極集中」にさらに拍車がかかると言いましたが、2つ目は財政面での懸念です。今日1番主張したいことです。

そもそも、この多目的施設は、平成29年12月に行われた「健康と運動・スポーツに関する県民意識調査」で約7割が「必要」と回答し、検討されることになりました。

注意すべきは、7割のうちわけです。そのうちわけは、17.1%が「前向きに進めるべき」とした一方で、52.6%が「県の財政状況等を十分考慮したうえで検討を進めた方がよい」、というものでした。つまり、この多目的施設は県民の半分以上が「財政状況等を十分考慮したうえで進めてほしい」という条件のもとでスタートしたわけです。

もちろん、やみくもに大きいアリーナを作ったりせず、既存施設の統廃合を前提にしたり、財政状況を考慮しなかったとは思いません。

しかし、それ以上の議論はありませんでした。規模を抑えるだけが方法ではありません。少し乱暴な言葉になりますが、県民の半分以上が求めた財政状況の考慮に関しては、はっきり「足りていない」と申し上げます。

というのも、県単独で整備するのが当たり前だと考えずに、多目的施設、スポーツ施設を整備したいと考えている市町村と一緒に整備できないか、検討はされましたでしょうか?土地も県が買い取るのではなく、市町村の土地を借りられないか、交渉はされましたでしょうか?

これから人口が減っていく社会です。県で施設を整備し、市でも施設を整備し、別々に整備するのではなく、一緒に、共同で整備する、そんなやり方はできないのかと思います。県民にとっては県営とか市営とかそんなことはあまり関係がありません。自分たちの払った税金がうまく使われることが大事なんです。公共施設の老朽化は、これから自治体が抱える宿命ですが、施設の目的が近く、更新のタイミングが近いのなら、共同で整備する道も探るべきではないでしょうか。

実際に、このような例があります。

高知県と高知市は県立図書館と市立図書館を一緒にし、共同で図書館を整備しました。

岐阜県とかがみはら市は航空宇宙博物館を共同で整備しました。

秋田県と秋田市は、連携して文化施設を整備しています。

私が調べた限りでは、スポーツ施設で同様の取り組みはありませんでしたから、仮に富山県がやれば全国初の取り組みになるかと思います。

さて、

⑤公共施設の更新等にあたっては、このように県と市町村が共同で整備する方法もありますが、このメリットは何だと考えるか、経営管理部長にお聞きします。

→(回答)整備費・運営費の負担軽減や人員配置の効率化が図られる。

単独で建設するより、整備費を分担し合えるのはもちろんですが、建設した後に、運営費・メンテナンス費も抑えられる。建設後にもメリットがあるわけです。施設は1つになるので、日程の調整は必要になるかもしれませんが、稼働率も上がります。今整備する施設は、今だけがよければいいわけではなくて、将来何十年も使うことになる施設です。決して、「今」の基準だけで整備してはいけません。メンテナンス費など「未来」の基準も加えて、整備すべきであると考えます。多目的施設は90億円程度の整備費見込みですが、仮に半分出してくれる自治体があれば45億円が浮きます。1/3でも30億円。

確かに高岡市には70億円かけて市民体育館を作る計画があり、現在凍結していますが、私が高岡市だから新高岡駅に整備してくれ、と言っているわけではありません。富山駅というアクセスと、節約できるかもしれない45億円30億円を、しっかりてんびんにかけて判断してほしいんです。

私は高岡市選出ですが、若い世代の代表でもあると思っています。30代40代が「他に優先課題がある」「必要だと感じない」と答えた割合が最も高かったことを、もう一度思い出し、少しでも費用を抑える道を探ってください。

次の質問に移りますが、

⑥仮に市町村と費用を負担し合うことができれば、交通アクセスや敷地の確保などと同じように重要な選定基準とすべきと考えますが、総合政策局長に見解をお聞きします。

→(回答)現在の2つの武道館の統合なので、まず県内各地からのアクセスを優先して考えたい。

この項目最後は知事に聞きます。

交通アクセスや敷地の確保ばかり議論するのは、持続可能性を追求する富山県として正しい議論だとは思えません。

少なくとも、県民の半分以上が「財政状況等を十分考慮したうえで進めてほしい」と願った思いに向き合っているとは思えません。

⑦せめて基本計画検討委員会には、全国の事例を共有し、財政的観点から市町村と費用を負担し合う方法があることを提示すべきではないか、と考えますが、知事の見解をお願いします。

→(回答)学生を含む、多くの県民に利用してほしいので、利便性が高い場所にしたい。

懸念のポイントに関して、

1つ目は「富山市一極集中」、

2つ目は財政面での懸念、と言いましたが、

3つ目、これは質問をしませんが、富山市総合体育館と機能が重なることへの懸念です。

現在考えている多目的施設は、5,000席です。これでは富山市総合体育館とまったく同じ規模です。富山駅周辺に同じ規模の体育館が2つ。県と市でそれぞれ持つ。果たしてそれは魅力的な富山駅周辺でしょうか?

そうではなくて、もし富山駅周辺に多目的施設用の土地のあてがあるのなら、それは今使ってしまうのではなくて、別の施設、あくまでアイディアですが、例えば街中サッカー専用スタジアムなどに取っておいてはどうでしょうか?もちろん今すぐにできるとか、作ってほしいというわけではありませんが、私が言いたいのは、今、富山駅周辺に多目的施設を無理やり作ってしまうと、いよいよ駅周辺に土地は無くなります。

「今」の課題解決も大事ですが、将来どんな富山県になったらいいか、考えるのも政治や行政の大切な仕事です。将来どんな富山駅周辺になったらいいか、、、未来の県民が同じ規模の体育館が2つある富山駅を見て、どう思うでしょうか?

30年後、街中にサッカー専用スタジアムができていると、昼は駅前でカターレを見て、夜はすぐ近くの体育館でグラウジーズ、ファンが相互に行き来して、同じユニフォームだったら最高なんですけど、もちろん駅からすぐですから、お酒も飲めます。将来国内からも海外からも観光客が増えた時、「ちょっと時間あるからそこのスタジアムでスポーツでも見るか。美味しい食べ物、美味しいお酒、しかもスポーツを見ながら。」という選択肢もできます。欧米には街中にスタジアムがある街も多く、日本からヨーロッパにサッカーの試合を観に行く人もいますが、ヨーロッパから富山にサッカーの試合を見に来る、バスケの試合を見に来る、なんて未来になっているかもしれません。「海のあるスイス」には駅から歩いてサッカーもバスケも見られるらしいぞ、と。

私はそんな富山県になってほしいと思います。

ぜひ、富山市総合体育館と機能が近い多目的施設は、市町村と共同で整備して財政負担を少しでも軽くして、別の駅で整備しましょう。

ほぼこの質問だったので、前半は長かったかと思います。後半に続きます!!